アイヌの基礎知識
●衣
鳥羽衣(ウミウなどの鳥の羽の付いた皮で作った衣服)、獣皮衣(熊や鹿などの皮)、魚皮衣(サケやマスで作ったもの)などがあったものの、現在まで伝えられている衣服は樹木衣。一般的にはオヒョウの木の内皮などを使ったアツシ織りが有名です。
●食
基本的に漁業や狩猟採集で食物を得ていて、副次的に農耕を行いました。
●住
普通4〜7戸程度で集落(コタン)を作ります。サケやマスの捕れる川沿いが多かったものの、定住はせず移動生活でした。
一軒の家の大きさは5×7メートルほどで、長い辺を河川と平行(あるいは東西方向)に設置しています。川上(東)に向かって「神の窓」があり、ここから熊の頭を出し入れしたり祈祷に使いました。家の出入り口は川下(西)です。
便所は男女別で、当然、川下にありました。アイヌは川の奥に偉い神々がいると考えたので、地方によっては川上に向かっての立ち小便を厳禁していました。
●信仰
多神教のアイヌに年中行事はたくさんありますが、一番有名なのが熊送り(イヨマンテ)。これは熊の霊を神の元に送り返す儀礼で、冬に猟をした小熊を1〜2年飼育し、盛大な宴で霊を返します。雪が固まった1〜2月頃の行事です。
●伝説
1 コロボックル
コロボックルはきわめて小さい神で、蕗の下に住んでいる。アイヌが猟に行くときはいつも先回りして競争するが、慈悲深く、いつもアイヌに物を贈ってくれた。
2 創世記
天上で雪合戦を始めた神様たち。ところが一個の雪玉が地上に落ちてしまった。天上からこの雪に矢を放ち、射抜いたらモシリ(人間世界)の支配者になれることになった。そして成功したのが雷神と火神の子供だった(日高・沙流の伝説)。
天上の神々が下界を見ると、とても美人な女が二人いた。雷神は一番前に出て見とれていたが、他の神にいたずらされて下界に突き落とされてしまった。それで二人の女は妊娠してしまい、ユーカラの神と聖伝の神が生まれた(胆振・幌別の伝説)
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