ドバイ・世界最高の眺望を見に行く

ドバイの眺望
ドバイの眺望


 金満国家のドバイには、純金の自動販売機があります。
 たとえば下の写真が5グラムの金ですが、彫られたデザインは「パーム・ジュメイラ」(右)と「アトランティス・ザ・パーム」です。

ドバイ金の自動販売機 ドバイ金の自動販売機
ドバイ・18金の自動販売機


 パーム・ジュメイラは、アラビア湾に作られた世界最大の人工島で、この建設により、ドバイの海岸線は500km以上長くなりました。アトランティス・ザ・パームは、この島にできた5つ星ホテルです。

 ドバイは、パーム・ジュメイラに続いて、さらに巨大な「パーム・ジェベル・アリ」と「デイラ・アイランド」という人工島を建造中で、ほかにも世界地図を模した「ワールド」も作っています。

ドバイの衛星写真
ドバイの衛星写真


 グーグルアースを使えば人工島を上から眺めることができますが、ドバイには、高さ828mという世界一の超高層ビル「ブルジュ・ハリファ(カリファ)」があります。せっかくなんで、こちらから眺めてみましょう。

「ブルジュ・ハリファ」の屋外展望台は「At the Top」と名づけられ、2010年1月にオープンしました。地上452m(124階)にあり、世界最高の屋外展望台でしたが、その後、広東タワーに追い抜かれました。
 1位好きのドバイだけに、2014年10月、「At the Top SKY」というさらに高い展望台を555m(148階)に設置し、再び世界一を確保しました。しかし、こちらは通常チケットの4倍の値段がするため、貧乏人は入れません。

ブルジュ・ハリファ
世界で最も高い「ブルジュ・ハリファ」


 そんなわけで、ドバイを地上452mから眺めてみたところ、本当に砂漠の真ん中に忽然と近代都市ができていることがわかります。

ドバイの眺望
ドバイの眺望


ブルジュ・アル・アラブ
世界最高7つ星ホテルの「ブルジュ・アル・アラブ」。その奥がパーム・ジュメイラ


ドバイの人工島ワールド
人工島「ワールド」


ドバイの人工島ワールド
ヘリか船でないと行けないワールドを超望遠で撮ってみたよ


 ブルジュ・ハリファは、三角形の形をしていますが、実はこのデザインにはモデルがあると言われています。それが、旧帝国ホテルを設計したアメリカの建築家フランク・ロイド・ライトが1956年、シカゴで提案した「マイル・ハイ・タワー」(別名イリノイ)です。こちらは528階建て、高さ1600m(アンテナを入れると1700m)で、おそらく世界初の超・超高層ビルのデザインです。
 1万5000台の駐車場と150基のヘリコプター駐機場が用意され、76のエレベーターが置かれる予定でした。超高層ビルでは上層ほど風の影響を強く受けるため、三脚型のビルが提案されたのです。

マイル・ハイ・タワー(イリノイ)
マイル・ハイ・タワー(ウィキペディアより)


 ちなみに、設計はスキッドモア・オーウィングズ・アンド・メリルという、アメリカ最大級の建築設計事務所です。六本木の「東京ミッドタウン」などもここが設計しています(建設は韓国のサムスン物産)。

 せっかくなので、別のタワーからもドバイの景色を見てみましょう。

JWマリオット・マーキース
JWマリオット・マーキース(右の2棟)。左は現代ビル


 こちら、ホテル専用建築で世界一の高さを誇る「JWマリオット・マーキース」。 72階建て(355m)の5つ星ホテルで、2013年2月にオープンしました。その66階から見た風景です。
 実は、ドバイは夕方になると、かなり展望が悪くなるんですね。

ドバイの眺望
JWマリオット・マーキースからの眺望
(となりの現代ビルがずいぶん低く見える)


 一方、下の画像は、「JWマリオット・マーキース」別棟68階のステーキレストランから撮影したもの。高層ビル群が雲海に浮かんでいるようで、とっても幻想的でした。

ドバイの眺望
霧にかすむドバイの眺望


 さて、建築業界には、超高層ビルが完成すると不況が訪れるという「超高層の呪い」という言葉があります。
 たとえば、ニューヨークに「クライスラービル」(1928年)、「エンパイア・ステートビル」(1931年)が建てられると、世界恐慌(1929年)が起こりました。
 1970年、シカゴに「シアーズ・タワー」が完成すると、オイルショック(1973年)が。
 マレーシアに「ペトロナスツインタワー」(1996年)ができると、アジア通貨危機(1997年)が起きたのです。

 そして、世界最高の「ブルジュ・ハリファ」が2010年に完成すると、リーマン・ショックに端を発した「ドバイ・ショック」が起き、ドバイは国家破綻寸前にまで追い込まれます。ドバイはアブダビに助けを求め、もともと「ブルジュ・ドバイ」だったビルの名称がアブダビの王様の名前「ハリファ」に変わったのです。

 現在、クウェートでは高さ1001mの「ブルジュ・ムバラク・アル=カビール」が、中国・武漢では1000m超のフェニックスタワーが、そしてサウジアラビアでは1600mの「キングダム・タワー」の建造が予定されています。完成の暁には、再び世界経済が破綻の危機に瀕するかもしれません。

サウジアラビアのキングダムタワー
サウジアラビアのキングダム・タワー
(ウィキペディアより)


『創世記』に書かれた「バベルの塔」のくだりでは、「さあ、天まで届く塔のある町を建て、有名になろう。そして、全地に散らされることのないようにしよう」というセリフが出てきます。天に刃向かう人類に、神は昔から厳罰を与えてきたのでした。


制作:2015年4月17日


<おまけ>
 NASAが撮影した2002年、2006年、2010年の、パームジュメイラの衛星写真。荒れ地は茶色、植生が赤、水は濃い青、建物や舗装はライトブルーまたはグレーで表示されています。

パームジュメイラの衛星写真
パームジュメイラの衛星写真

<おまけ2>
 ブルジュ・ハリファの直下には、世界最大の噴水「ドバイ・ファウンテン」があります。全長275m、高さ150mまで吹き上がります。2009年5月にオープンしましたが、まぁ、それほど大したことはないですな。


世界最大の噴水「ドバイ・ファウンテン」
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