長崎県・諫早湾に行ってみた

諫早湾
遠くからだとこんな感じでしか見えません。


 九州・有明海の南西側に入りこんだ長崎県の諫早湾。
 かつて『宝の海』と言われたこの湾で、1989年から「国営諫早湾干拓事業」の工事が行われ、1997年4月14日に潮受け堤防が閉じられたことで、豊穣の海が死に絶えました。

 非難囂々のなか、農水省のメンツだけで始まった干拓事業は、1999年12月14日、計画変更が提示されました。事業見直しかと思ったら、2000年完成予定を2006年に延長した上、総事業費を2490億円まで増やすというめちゃくちゃな話でした。

 当初予算は1350億円だったから、当然のことながら「費用対効果」率が減少、1.03倍から1.01倍になってしまいました。それって、もはや税金の無駄以外何の意味もないんじゃないの?

 この緊迫財政の中、つくづく不思議な国・日本。というわけで、1999年現在の現場写真を公開しておきます。

近くまで潜入すると……水の汚さまでよ〜く分かります。
諫早湾

当然ながら大地は干上がって、貝の死骸が累々と続いています。
諫早湾


 不思議だったのは、現地では意外なほど反対の声がなかったこと。やっぱり豊かな自然の中(悪く言えば田舎)にいると、それが破壊されることの怖さに気が付かないんでしょうか? 壊されてからだと遅いんだけど、地元民にとっては何の役にも立たない自然より、総額280億円の補償金の方がありがたいんでしょうね。ちょっと複雑な気分でした。

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