アイヌの熊送りを見にいく!

イヨマンテ

 アイヌ文化の中で、最も有名なのが熊送りでしょう。金田一京助によれば、

《熊も鹿も鮭も狐も鳥も、天上の神国では、人間のように着物を着て、家を建てて神語を話して生息しているが、下界へ遊びに来る時だけ、熊は我々の見るようなあの変装をし、狐や鹿や鮭なども、それぞれあのような変装をして人間界へ来るのだという。そして福徳ある人間へ、その装束(=肉のこと)をみやげに授けて、霊だけ天の国へ帰る》

 つまりイヨマンテとは、熊の霊を天に差し戻す祭りなわけで、熊を天地の神々へ捧げるのではありません。
 というわけで、画像発掘です。
熊送り前の宴会
熊送り前の宴会


イヨマンテ
招待客は盛装し、会場で次々に踊る
 

イヨマンテ
殺した熊を取り分ける

 熊を殺すには、2本の棒で頸(くび)を締め上げ、弱ったところで、矢を射るか心臓を短刀で突き刺したといいます。その際、血は1滴も残さずに容器に受け、年長者がその生き血を飲みました。
 
 熊を殺す方法は地方によってさまざまだったようです。イサベラ・バードの『日本奥地紀行』には、別の例があがっています。

●その1 集団で打ち殺す
《熊がだいぶ興奮してくると、酋長は熊に一本の矢を射る。これで軽い傷を負うと熊は怒り出す。そのとき檻の横木を上げると熊はたいそう怒り狂って外に跳び出す。この段階でアイヌ人たちはいろいろな武器を持って熊に襲いかかる。熊に血を流させるのは幸運を齎(もたら)すので、いずれも一傷を負わせようとする》
●その2 頸の骨を折る
《二人の男がその耳を掴まえ、他の人びとが長くて丈夫な棒で熊の首筋を押え、その上に数人のアイヌが馬乗りになる。熊は長い間もがき暴れてから頸が折れる》

 こうして、殺した熊の肉をみんなで分けて、何日も続く大宴会が始まるのでした。
※本来のイヨマンテは、今から見ればずいぶんと残酷ですね。でも、民族の精神文化を簡単に断罪するのは危険なので、安易に「ひどい」とか言わないように!

制作:2003年4月7日

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