勝鬨橋の橋脚内部に入ってみた!
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1940年6月14日午前8時半、勝鬨橋の開通式。写真は祝賀通行中の菊丸(800トン)
隅田川には数多くの橋がありますが、なかでも河口にもっとも近い勝鬨橋は橋の中央部分が跳ね上がる可動橋です。大型船を通過させるための措置ですが、もちろん交通量が激増した現在では跳ね上がることはありません。
が、しかし、橋脚内部には当時の機関がそのまま残っているのです。
先日、念願かなってその内部に入ることができたので、写真中心に紹介しときます。
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橋中央の構造。右端にあるのが運転室
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橋が開く部分。ギザギザ部分はシャーロックといいます。現在でも車の振動でかなり揺れます
<発電室>
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発電設備(手前から誘導電動機、直流電動機、励磁用直流発電機)
旧発電室は現在、かちどき橋の資料館になっています。それぞれの橋脚に125馬力直流電動機2機が据え付けられ(計4機)、通常は1機ずつ使って発電しました。
電力会社から送られた3300Vの交流電気を、誘導電動機で直流に変え、それを直流電動機に送って発電し、直流励磁機で励磁電流に変換しました。橋脚内のモーターは通常の磁石ではなく、電磁石によって動くため、これほどの手間がかかったわけです。いまではインバーターがあるので、こんな手間は不要です。
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旧発電室2階にある配電盤
手前が高圧配電盤(電力会社の電気を1階に送って発電)、奥が低圧配電盤(橋の開閉、信号などに使用)
<運転室>
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運転室の操作パネル
手前のレバーを回転させることで橋が開きました。同じものが左右2つずつあるんですな。
それと、橋の角度を示すインジケーターも2つありました。ただし、右の体重計みたいなやつは不正確で、試験運転中に使用を停止しました。実際の角度は、直接、橋を目視した方が安全だしね。
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運転室の電気設備(昭和14年製)
ここには電気技師しか入れなかったため、コードなどがむきだしのまま
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なぜか天井にあった方角計。別に運転室が回転するわけではないんだけど?
<機械室>
さて、いよいよ3.5mの階段を下りて機械室へ。
ここで超簡単に橋が開く構造を説明しておきますが、橋脚内の機械室はテニスコート1面、高さ9mの空洞があり、ここに橋が回転しながら沈みこむわけです。回転はトラニオン軸を中心に起こり、1000トンのカウンターウエイト(重り)でヤジロベーのように釣り合っているため、比較的小さな力で開くことができました。
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説明図
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機械室の巨大なピット(空洞)
下にあるのがストッパーで、橋が限界(70度)まで開くと、エアバッファで衝撃力を和らげました
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下から見上げた制動装置とカウンターウエイト。電磁ブレーキ、スラスタブレーキ、手動バンドブレーキが取り付けられていました
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トラニオン軸軸の太さは約600mm
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なんと!橋の下にはトイレまであったんです!
制作:2009年6月3日
<おまけ>
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これが橋の開閉記録