真鍋博・2001年の世界
禁酒の時代
朝日新聞から刊行された『2001年の日本』(1969年)では32年後の未来が予測されています。
著作権が残存しているので、中面の画像を1枚だけ引用しておきます(イラスト:真鍋博)。
この本では「コンピュータ」「映画」「病院」など78分野の未来予測がされています。
「観光産業」では以下のように書かれています。
《宇宙開発はすでに現実の日程にのっており、1970年代の前半までには、月へ人類が上陸する。実用人工衛星は完全に日常化し、人工衛星で地球を回りながら、地球を上から眺める東京タワーの21世紀版が登場するだろう(ある予測では1人45万円)。
2001年には、200人乗りのロケットで月への観光旅行が可能である(1人360万円)。さらに月に惑星空港がおかれ、その基地から火星や金星(20人乗りぐらいのロケットが飛んでいる(1人1260万円)》
月着陸は1969年7月20日、アポロ11号によって実現しましたが、もちろん月観光は現在も実現していません。
そのほかの予言は、
●新聞 立体写真が紙面を飾る
●矯正事業 週末のみ刑の執行を行う「週末拘禁制」実施
●消防 空中消火が一般化
●禁酒運動 自動車禁酒保険が盛んに
などなど。
作家の小松左京は「飛行機」分野の予測で、都市の空の乗り物として、騒音も排気ガスも出さない電力飛行機「アイオノクラフト」のようなものが誕生するかもしれないと指摘しています。
なお、イラストレーターの真鍋博は、星新一や筒井康隆などのSF本で数多くの未来風景を描いています。自ら未来予測の本を複数出しており、1966年には『絵でみる20年後の日本』(日本生産性本部)を出版しています。
また、1979年には、国際児童年の切手をデザインしています。