北海道・幻の大夕張へ!
トンネルを抜けると、幻の町が!
《大夕張(おおゆうばり)よいとこ一度はおいで、富士見、栄に代々木に春日、緑、宝に千年、常盤は恋の町》
いい歌ですな。北海道・大夕張(夕張市鹿島地区)の開発中に歌われた「とことん節」です。富士見は炭坑の職員住宅、栄は飲食店や料亭、映画館などが軒を連ねた繁華街。代々木には4階建ての鉄筋アパートがありました。そして常盤、千年には一杯飲み屋が並び、もちろん“女郎屋”もありました。
大夕張、それは原野の中にこつ然と現れた「栄華を極めた炭坑の町」です。最盛期には1万8778人(1955年の国勢調査)の人口を抱えていましたが、1973年の三菱大夕張砿閉山後は過疎化の一途をたどり、1997年には350人程度になってしまいました。 そして、今。
このあたりは草木が生い茂った原野に戻っています。2004年完成予定のシューパロダム建設によってこの一帯が水没するため、町のすべてが撤去されてしまったからです。
将来は地図からも名前が消えるこの町の、最後の姿(2003年6月末)を見てきたよ!
大夕張へは、清水沢から三菱の大夕張鉄道で。
(地図は昭和6年現在)
1987年7月に廃線になった大夕張鉄道の夢の跡。
(左)独特のトラスド・ガーダー構造の橋梁
(右)旧南大夕張駅に保存されたラッセル車
左は唯一現存してた商店(緑町の高橋電器店?)、右は栄町?の電柱跡
ブランコ跡(栄町児童公園?)とヘリポート跡(北栄町?)
<おまけ>
シューパロ湖にかかる大夕張森林鉄道の「三弦橋」
※1958年に完成したものの、わずか5年で廃止に。産業考古学会の推薦産業遺産にも選ばれているが、ダム湖に水没してしまう。長さ381m、湖底面からの高さ68m。
制作:2003年7月6日
三菱大夕張炭砿は、比較的、事故は少なかったのですが、次第に採炭坑が深くなり、会社は南大夕張炭砿の開発にシフトしていきます。しかし南大夕張砿も1990年に閉山。結局、この地域は“用なし”となり、シューパロダムの建設計画が浮上するわけです。
石炭の時代の終焉。それはしょうがないことだけど、なんというか、日本のエネルギー政策の悲哀を感じてしまうんだなー。まぁ、その時代を忘れないためにも、北海道内の戦後の主な炭鉱事故についてまとめておきます(北海道新聞1998年11月25日付より。人数は死者数)。
1954年08月 太平洋(釧路)でガス爆発、39人
1955年11月 雄別茂尻(赤平)でガス爆発、60人
1961年11月 日炭福住(赤平)でガス炭じん爆発、20人
1965年02月 北炭夕張でガス爆発、62人
1968年07月 北炭平和(夕張)で坑内火災、31人
1970年12月 三井砂川でガス爆発、19人
1971年07月 住友歌志内でガス突出、30人
1972年11月 石狩(奈井江)でガス爆発、31人
1977年05月 三井芦別でガス爆発、25人
1981年10月 北炭夕張新鉱でガス突出、93人
1985年05月 三菱南大夕張でガス爆発、62人
炭坑への入口(石狩炭田のどこかだが、鉱山名不詳)
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