東京の空風(からっかぜ)と雨の泥濘(ぬかるみ)
rakuten26

今ではもう昔話になったが、明治の末頃までの東京は、まずこの絵のごとくで、風が吹けばいわゆる紅塵、いや黄塵万丈だった。 雨の日はさらにひどい。

「泥濘(ぬかるみ)脛(はぎ)を没する」という実情で、ガスの栓などにつまづく気の毒な人がある。雨上がりの水たまりでドジョウがすくえる。

これがロシアに勝った世界の一等国の首府ではどうも困ると、鋭意、道路の改造に努めたものだ。