銀行買収
丙野大尽は、最愛の妻から「銀行で恥を掻かされた」と涙の訴えを聞いて……
「よし、敵を取ってやる」
と金力のあるに任せて、その銀行の頭取に面談を求め、譲り受けの相談をする。
「いや、譲り受けの価格は問題ではない」
「250万円? よろしい」とすぐに現金取引を済ませて支配人を呼ぶ。
「私は丙野茂平治ですが、この銀行の新しい持ち主になりました。ついては行員全部を集めてください」
行員が顔見せに集まったところで、
「さぁ奥さんや、このうちの誰がおまえに恥を掻かせたのか。ふーむ、その灰殻か。これ灰殻、前へ出なさい。おまえは今日限り解雇します。奥さんや、これでよろしかろう?」