大阪「塔の都」を行く

大阪の塔
この塔はいったい何だ?


 今、大阪では「水の都大阪を再生しよう」なんて言われてますが、東京育ちの俺としては、「昔は東京も水の都って呼ばれてたもんなぁ」……とピンとこないのであります。
 部外者の俺としては、個人的に大阪は塔の都だと思ってるのですよ。きっと誰もそんなこと思ってないだろうけど。
 ま、そんなわけで、今回は大阪の塔を巡ってみます。


四天王寺・五重塔 四天王寺・五重塔
四天王寺・五重塔(左が現在、右が倒壊前)

 まぁ、大阪最古の塔といえば、言うまでもなくこちら。四天王寺の五重塔ですな。四天王寺って聖徳太子が建立した日本最初の官寺です。
 五重塔はこれまで何度も燃えたり倒壊したりしています。最近では、1812年に建てられたものが1934年の室戸台風で倒壊、1940年に再建されたものの、1945年の大阪大空襲で焼失しました。現在のは1959年に完成したものです。高さは39.5m。

通天閣
現在の通天閣


 さて次。天王寺駅から遠くに見えるのが、有名な通天閣ですな。こちらは実は2代目。
 初代は1903年(明治36年)、第5回内国勧業博覧会のシンボルとしてつくられました。パリのエッフェル塔と凱旋門を模したという……なかなか珍妙なものでした。高さは64m。通天閣の下はルナパーク(新世界)と呼ばれ、一大遊園地になっていました。初代は1943年に火事で燃え、その鉄屑は戦車や鉄砲に姿を変え、戦地へ運ばれていきましたとさ。

通天閣 通天閣
こちら初代の通天閣


 大阪の塔は、実は博覧会でつくられたものが多いのです。岡本太郎の「太陽の塔」もそうですな。こちらは1970年「大阪万博」のシンボル。高さは70mで、塔の左右にのびる腕は長さ25m。
 ちなみに塔の内部には、「生命の樹」という生物の進化を表す展示物が置かれていました。現在は内部へは入れません。

太陽の塔 太陽の塔
太陽の塔、表の顔と裏の顔


 もう1つ、鶴見緑地には1990年の「国際花と緑の博覧会(花博)」で建てられた鶴見緑地展望塔(いのちの塔)が立ってます。高さ90m。博覧会でつくられた塔が3つもあるとはなかなか驚きですな。

 そういえば、朝日放送の電波塔もありました。東京タワーならぬ、大阪タワー。高さ160mですが、現在は閉鎖中。大阪タワーの近くには新梅田シティがあって、ここにもタワー棟があるわけですが、特筆すべきは「空中庭園展望台」です。

大阪タワー
これが大阪タワー

 以上、大阪の塔をざっと巡ってみましたが、本題はこれから。実は大阪には、地元民以外ほとんど誰も知らない巨大な塔があるのでした。大阪といっても、大阪市ではなく、富田林市です。


PLタワー
入城お断り


 富田林にいったい何があるのか? そう、あのPL教団(パーフェクト・リバティー教団)の本部があるのですよ。
 で、いざ行ってみたはいいけれど、本部への入場は拒否されました。これまでもけっこういろんな宗教の本部に行った俺ですが、こんな入口で拒否されるのは珍しい……。

PL教団 PL教団
第一錬成道場(左)と第二錬成道場


 この聖地に立っているのが、1970年に完成した「超宗派万国戦争犠牲者慰霊大平和祈念塔」(冒頭の写真)なのだ!
 PLは「人生は芸術である」という真理を持っているだけに、まさに芸術度満点の塔ですな。

 いったいこの塔にはどんな意味があるのかというと、ま、一言で言えば「世界平和」です。教団の公式サイトによれば、

《塔の神殿には、人種・民族・国境の区別なく、宗教的信条の違いも超えて、有史以来のあらゆる戦争による犠牲者の霊を奉祀してお慰めしています》

 ということです。ちなみに地元のタクシー運ちゃんによれば、この塔には「世界は1つ」という深遠な意味があるそうな。

 実はこの塔、昔は誰でも登れたのですが、今は完全封鎖中。敷地内に入るのも、無理矢理お願いして入れてもらったほどです。
 先代教祖は桜で有名なPLランドという遊園地をつくり、地元民にも開放していましたが、その遊園地も今はありません。どうやら現教祖はあんまり一般人との交流がお好きではないようです。

 夕方だったせいか、ちょっと聖地近辺は元気が感じられませんでしたが、せっかくなので、「世界が1つになって、平和になりますように!」


制作:2006年1月16日

<おまけ>
 こちらがPL高校のグランド。やっぱり入場拒否なので、望遠で撮りました。清原も桑田も、ここで修行したんでしょうね。
 右はPL病院です。こちらは一般人もOK。

PL教団 PL教団

<おまけ2>
 こちらも塔と言えば塔。大阪ワールドトレードセンタービル(WTC)のコスモタワー。西日本一の高さ256mを誇る巨大ビル。
 しかし、周囲には何もないんですけど?

WTCコスモタワー
2003年に経営破綻し、その後、紆余曲折を経て、現在は大阪府の庁舎になっています。

<おまけ3>
 こちらはアーティスト・フルデントヴァッサーのゴミ処理場(←本当に大丈夫か、大阪?)

ゴミ処理場

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