ベトナム「3大カルト」聖地へ!
最近はベトナムへの旅行者も多いですが、今回は誰も知らないベトナムの深部を見に行くよ。
ベトナムの宗教といえば、仏教、儒教、道教が大多数を占めます。これにキリスト教なんかも加わるわけですが、忘れてならないのは新興宗教(というか伝統宗教)です。まさに珍妙としかいいようのない宗教がいっぱい! こうした珍妙宗教はベトナム南部に集中しています。その聖地巡礼の旅に出るぞ!
まずはガイドブックにも絶対載っているカオダイ教から。
<初級編>カオダイ教(高台教)
信者数200万人を抱えるカオダイ教の総本山は、ホーチミンの西北100キロ、車で2時間ほどのタイニンにあります。たくさんのツアーが出てるので、見学はとっても簡単。ツアーに乗れば、ちょうどお昼の礼拝の時間に到着するようになっています。信者がそろってお祈りする姿は壮観! 超おすすめのスポットです!
怪しげな総本山と「天眼」と呼ばれる至高神
中国の古楽器・二胡の調べに乗って礼拝(午後12時)
さて、カオダイ教についてまとめておきますが、不思議なことに、文献によって情報がバラバラです。そもそも創始者が誰だかよくわかりません。
《1919年、下級官吏だったゴ・バン・チウが天命を受けて開いたカオダイ教の下に、圧政にあえぐベトナム南部、とりわけメコンデルタの農民が結集、宗教コミューンを形成し、一部は武装して「カオダイ軍団」を築きあげた》(毎日新聞1993年9月9日)
《1920年にベトナム南部のフークォック島で下級官吏ゴーボンチウを教主として発足》(毎日新聞1995年7月29日)
ゴ・バン・チウとゴーボンチウは同一人物でしょうが、年代が違いますな。同じ新聞なのに。
ちなみに、「地球の歩き方 東南アジア」では《1919年ゴ・ミン・チェンによって創設》となっています。これも同一人物なのか?
一方、平凡社の百科事典では、
《1926 年、レ・バン・チュン Le Van Trung (黎文忠) の手で新教団として正式に発足》
となっており、小学館の百科事典でも「1926年、レ・ベンチュン(黎文忠)創始」となっています。教祖はいったい誰なんでしょうか?
ちなみに小学館版では、この教祖さまはモーゼと釈迦(第1回の人類救済)、イエスと老子(第2回の人類救済)に続いて、第3回目の救済のために天から遣わされたそうです。
しかし、これもまた毎日新聞(1993年9月9日)によれば、
《主神A・A・Aのもとに、釈迦、マホメット、孔子、イエス・キリストをはじめ、19世紀フランスの文豪ビクトル・ユーゴーや中国革命の父、孫文といった世界の偉人たちまで崇拝の対象にしている。ベトナムの土着信仰と世界の英知との「混合宗教」というわけだ》
となっています。「主神A・A・A」って誰だよ。
<中級編>ココナツ教
これはベトナム最高の奇天烈宗教です。1964年、グエン・タィン・ナムが作ったもので、一応は仏教や儒教、キリスト教との混合宗教ということになってます。
しかし、教典や布教活動はまるでなし。ベトナムの統一という大義名分がありましたが、教祖は妻9人と乱交状態? しかもココナツだけを食べて生き続け、昇天時には体重が27キロだったとか(未確認情報)。
あまりに楽しい毎日を送った末、1990年、教祖の死亡で教団は解体。
教団跡はミト(ホーチミンから車で2時間)から船20分のフェニックス島に残ってます。今ではガイドブックにも載っている観光地ですが、ツアーなんて洒落たものはないので、頑張って自力で行ってください。
ただし、行ってもこんなガラクタが並んでるだけ。
遊園地みたいな教団跡と、9人の妻に囲まれる教祖
最後は
<上級編>ホアハオ教 (和好教)
1939年、仏陀の化身とされるヒン・フー・ソーが創設した仏教系新宗教。教祖の出生地がホアハオです。上の2つに比べれば、まぁ、マトモ? 博愛・平等・団結などを説いてますが、過激な大衆運動を組織し、排仏・反米・反共など政治的な武力活動も盛んでした。最盛期の信者数は200万人。現在は活動停滞気味です。
実はこの教団は、一時期、日本軍と親密だったともいわれます。カオダイ教にしてもそうなんですが、日本軍は「仏印進駐」の手段として、新興宗教を上手に利用した節があります。
そこで、ホアハオ教の本部にはなにか当時の資料が残ってないかな? と思って行ってみることにしました。
が、しかし遠いんだここ。教団本部・安和寺はホーチミンから車で7時間、カンボジア国境近くのチャプーからフータンに渡河してさらに8キロのフーミンにあります。河を渡るといっても、橋がないので、車ごとフェリーに乗るという大技を使います。
ようやくたどり着いて、
「オレ日本から来たんだ」
と言うと、みんな大歓迎してくれました。握手握手の嵐! そりゃまぁ、ハッキリ言って、信者以外でここを訪れる人間は誰もいませんから、歓迎されるのも当然でしょう(笑)。
で、さっそく昔の写真とか資料とかなんかないかと聞いてみましたが、あっさり「そんなのないよ」と言われておしまい。大ショック。オレの時間を返してくれー!
普通っぽい本堂と、80歳を越えてるのに若い教祖
更新:2004年5月9日
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