刑務所内でおこなわれる凶悪犯罪
ナチ・ローライダーズ:3000人の白人至上主義者たち
ナチ・ローライダーズ(NLR)は、1970年代、カリフォルニアの少年院で誕生した。
少年院に拘留されていた若者たちが、エイリアン・ブラザーフッド(AB)のメンバーであるジョン・スティンソンによって、若者たちだけの白人至上主義グループを結成するよう誘われたのが始まりだと言われている。スティンソンの目的は、もちろん、彼らをABの手先として使うことだった。
名称に「ナチ(ナチスのこと)」がついているが、これは人種差別的な思想を反映するためにつけられた。ローライダーズの部分は、半分ふざけてヒスパニック系のギャングたちのグループ名から取ったという。
彼らはナチスにちなんだ卍やSS、88(ハイルヒットラーの意)、SWP(Supreme White Power=白人至上主義)、NLR、White Power、White Prideといったタトゥーを好んで入れる傾向がある。
また、骸骨や悪魔、バイキングといった、ドイツ人やケルト人に人気のある図柄もタトゥーとして好み、髪型はスキンヘッドが多い。
警察に捕まった際には、そのアイデンティティをごまかすため、NLRのタトゥーはNever Lose Respect(決してプライドを忘れない)とかNo Longer Racist(もう人種差別は止めた)を意味するもので、ギャンググループの頭文字ではないと屁理屈をこねることも多いという。
ヒスパニック系のメンバーも少数いるが、基本的に、最低半分は白人の血が入ってなければならず、黒人の血が入っているのは絶対に許されないとされる。同時に、過去に犯罪歴があることも必要条件だ。
彼らは南カリフォルニアで勢力を持っており、3000人規模とされている。だが、現在、急速にメンバー数を増やしている。
NLRは1990年代の初頭まで、警察当局から注目を浴びることはなかったが、いまでは人種差別に関係した複数の暴力行為や殺人で知られている。その目的は、刑務所内で白人を守ることと言う者もいれば、黒人を社会から根絶することと言う者もいる。
ドラッグとしては、メタンフェタミン(覚せい剤)を主に扱い、強盗や恐喝も得意とする。
NLRはABから、メキシコ人など人種が入り乱れた形でメンバーを拡大することを止めるよう指示されているが、NLRは既存の人間関係維持を理由に受け入れようとはしていない。そのため、ABはもう一つの白人のプリズンギャング「パブリック・エネミー・ナンバーワン(社会第一の敵の意)」に、ABの命令を受け入れないNLRのメンバーの殺害を命令していると噂されている。