刑務所内でおこなわれる凶悪犯罪

ブラック・ゲリラ・ファミリー:米国政府の打倒を目指す黒人組織

 ブラック・ゲリラ・ファミリー(
BGF)は、黒人自衛組織ブラックパンサーの元メンバーであったジョージ・ジャクソンによって、1966年、サンフランシスコの北にあるサンウエントゥン刑務所内で作られた。

 メンバーには、以前、黒人解放軍、共生解放軍、過激派地下組織などに属していた者もいた。
 BGFは、プリズンギャングのなかでは最も政治的なグループで、マルクス、毛沢東、レーニンの革命思想に傾倒し、人種差別撤廃、刑務所内での人権、そして、米国政府の打倒をそのゴールとしている。

 BGFのメンバーは当然全員黒人でなければならず、少数精鋭グループのため、メンバーはギャングに対する絶対的忠誠を誓わなければならない。
 また、準構成員になるのでさえ、メンバー誰かに個人的に後見人になってもらう必要がある。

 シンボルマークとしては、アルファベットのBGFや、ライフルと斧を交差させた図、また、龍が刑務所に巻きつきその手に刑務官を掴んでいる図などが使われる。

 アメリカの刑務所は、一般に、州立刑務所と連邦刑務所に分かれ、基本的に、複数の州にまたがるような犯罪や国際的な犯罪の場合は、連邦刑務所に収監される。

 BGFは、東海岸、西海岸を問わず、州立でも連邦でもともにしっかりとした組織を持っている。
 社会運動的なカラーが強いことから、1990年代に衰退した時期もあったが、刑務所内の他のギャンググループ(415sやブラッズ、クリップス、ブラック・ギャングスター・ディサイプルズなど)との連携で、現在再び勢力を拡大している。

 とはいえ、拡大の副作用というべきか、BGFは現在、連邦刑務所内において、旧世代と新世代の間で内紛を起こしている。
 新世代側は、自分たちをニューマン(New Man)と呼び、旧世代はしっかりとした方向性を持たない絶滅種だと揶揄している。415sとブラッズがニューマンに味方し、クリップスが旧世代の側につくという状態だが、州立刑務所のBGFメンバーたちは、旧世代の方を支持しているという。

 BGFヌエストラ・ファミリアとも親睦関係にあり、刑務所当局に対し強い反抗的姿勢を取ることで知られる。なお、メリーランドのBGFリーダーは、4人の刑務所の女性看守を妊娠させたことで知られている。