銀行の誕生
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第一国立銀行に行ってみた
第一国立銀行
日本の銀行には「金融機関コード」という4桁のナンバーが付与されているんですが、0001は「みずほ銀行」となっています。
いったいなぜ「みずほ」が1番なのか? 答えは簡単。みずほの歴史をさかのぼっていくと、日本初の銀行「第一国立銀行」にたどり着くからです。今回は、そんな「銀行」誕生についてまとめます。
1873年、創業時の写真
第一国立銀行は明治6年(1873)6月11日に創設されました。紙幣頭&大蔵大丞だった渋沢栄一が立案し、明治5年11月に公布された国立銀行条例による日本最初の銀行です。
「国立」となっていますが、これは完全な民間経営で、江戸時代から両替商をしていた三井組と小野組を中核にして設立されたものです。ちなみに資本金は双方100円ずつに一般からの応募44円をあわせた244円。この点で日本初の株式会社と呼ばれることもあります。
第一国立銀行は民間企業でありながら、当初は紙幣の発行も認められていました(ただし兌換紙幣で、金との交換が条件)。
これが当時の紙幣
さて、国立銀行条例による銀行は全部で4つしかありませんでしたが、明治9年8月、条例が改正され、3年後には153行も銀行が誕生しました。このとき設立されたのが、たとえば三井銀行。第一国立銀行も三井系なわけだから、日本の資本主義の確立に三井は大いに貢献したのですな。
創業当時の三井銀行(手前は
三越
)
明治15年(1882)、政府は日本銀行を創設し、紙幣の発行は日銀の専管事項になります。明治29年(1896)、国立銀行はすべて普通銀行に転換し、第一国立銀行は第一銀行になりました。このときの資本金は450万円。
第一銀行本店(明治35年)
明治30年、日本は金本位制が確立、また日清戦争の勝利で日本の経済界は大きく発展します。銀行も整備され、北海道拓殖銀行(北海道開発向け)や農工銀 行、植民地の中央銀行(朝鮮銀行・台湾銀行)などの特殊銀行が一気に設立されます。
ここで重要な特殊銀行が次の2つ。ともに後年の合併で、みずほ銀行になるからです。
●明治30年(1897)設立 日本勧業銀行(農業、軽工業支援)
●明治35年(1902)設立 日本興業銀行(重工業支援)
日本勧業銀行(明治44年)
明治34年(1901)に経済危機が起きるまで日本の銀行は拡大を続け、最盛期にはなんと2359行も存在していました。
昭和2年(1927)、
金融恐慌
で日本の銀行の多くが破綻、合併や吸収を繰り返し、第一銀行は三井、三菱、住友、安田と並ぶ5大銀行の1つとなりました。
隆盛を誇った三井銀行(大正元年)
昭和17年(1942)、金融統制が極限まで進められ、第一銀行は三井銀行と対等合併して帝国銀行(通称・帝銀、資本金2億円)となります。この後も合併を繰り返し、戦前、日本最大の普通銀行として君臨しました。
余談ながら、
帝銀事件
は帝国銀行の椎名町支店で起きました。
さて、帝国銀行は内部では第一系と三井系の仲が悪く、非常に効率の悪い経営が続きました。業績も悪化する一方で、戦後の1948年、両者は自主的に分離することになりました。新第一銀行の資本金は10億2000万円でした。
分離後の第一銀行(場所は丸の内1-6、現在の丸の内センタービル)
第一銀行の窓口(1953年)
本店営業部内部
その後、第一銀行は大して規模も拡大しませんでしたが、1971年、日本勧業銀行と合併し第一勧業銀行となりました。
2002年4月1日、第一勧銀は、日本興業銀行と富士銀行(1948年に成立、元は1880年の安田銀行)と合併し、みずほ銀行となります。合併時点での総資産は140兆円で、世界最大の銀行の誕生でした。
以下、みずほ銀行以外についても簡単に書いておきます。
●三井住友銀行
1948年、第一銀行と分離して誕生した新帝国銀行は、1954年、三井銀行に改称。1990年、太陽神戸銀行と合併して太陽神戸三井銀行に。1992年、さくら銀行に改称。
一方、住友銀行は明治28年創業。2001年4月1日、両社合併で三井住友銀行に。
住友銀行本店(大阪、戦前)
●三菱UFJ銀行
明治13年(1880)、郵便汽船三菱会社(現在の日本郵船)から「三菱為換店」が分離。大正8年(1919)、第百十九国立銀行の業務を継承して三菱銀行設立。
一方、明治12年に国立銀行条例によって設立された外国為替銀行「横浜正金銀行」が1946年東京銀行になり、1996年、三菱銀行と東京銀行が合併し、東京三菱銀行となる。
UFJは、鴻池銀行の流れを引く三和銀行と東海銀行が2002年合併し、2006年1月1日、東京三菱銀行に吸収される。
三菱銀行本店(昭和6年)
●りそな
昭和23年、野村銀行が大和銀行と商号変更。これに協和埼玉銀行(あさひ銀行)が吸収され、2002年設立。
以上のメガバンクは、バブル崩壊の危機を乗り越え、2006年3月期決算で合計3兆円という過去最高益をあげるほどに復活しました。
ですが、2006年現在、各社とも1円も法人税を払っていません。これは「繰越控除制度」によるもので、要は単年度の利益が繰越損失を下回っていれば、最大7年は税金を納めなくてもいい制度を活用したもの。最近ではサラ金と銀行の区別がつきませんが、銀行って甘くていいですね!
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円の誕生
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造幣局の誕生
制作:2006年10月17日
<おまけ>
みずほ銀行の金融機関コードは0001ですが、0000はどこか? 答えは日銀です。その日銀って、上から見ると「円」の形をしてるんですよ(笑)
グーグル・アースで見た日銀
明治44年の日銀