
鉄道省においては、機関車の名前は車軸配置を基本にしました。
動軸が2、3、4、5になると、それぞれB、C、D、Eと呼称し、それに先軸と従軸の数を合わせました。
また、機関車には、罐でできた蒸気をそのまま使う飽和蒸気機関車と、これを過熱管によってさらに過熱(加熱ではない)した過熱蒸気機関車の2種類あります。
さらに、炭・水の置き場を機関車に内蔵させた「タンク式」と、外付けした「テンダー式」にも分かれます。
以上を並べ、2Bタンク機関車、1D1過熱テンダー機関車、2C1過熱テンダー機関車などと呼びます。
ちなみに、旅客列車用として名を馳せたC57(冒頭の写真)は、「2C1過熱テンダー機関車」となります。
前述のとおり、鉄道省は機関車の動軸数によって、B、C、D、Eと命名していますが、電気機関庫はこれにEをつけ、EB、EC、ED、EEとなります。内燃機関車は、Dを冠しDB、DC、DD、DEとなります。
数字としては、蒸気機関車のタンク機関車の場合10〜49を、テンダー機関車の場合50〜99を用います。
電気機関車と特種機関車は、最大時速65km以下のものは10〜49、65km以上のものは50〜99を使います。
これにより、たとえばC53は、動軸数が3で、テンダー機関車であるとわかります。C53の1号機がC531、20号機がC5320となるわけです。
同様に、EF52は、動軸数6の電気機関車で、1号機がEF521、35号機がEF5235となります。
なお、明治42年に形式称号が制定される前は、ざっくりと以下のように決められていました。
●タンク機関車 5000未満
4輪連結 1000未満
6輪連結 1000以上4000未満
8輪以上 4000以上5000未満
●テンダー機関車 5000以上10000未満
4輪連結 5000以上7000未満
6輪連結 7000以上9000未満
8輪以上 9000以上10000未満(マレー型含む)
●電気機関車 10000以上
同一形式の機関車が増え、上記の範囲を逸脱する場合、あるいは他の型式番号と重複する場合、さらに10000、20000、30000……と冠していきます。
たとえば8620型は、8620台から88620台まで存在しています。また、9600型は、9600台から79600台まであります。
さらに、南満州鉄道と朝鮮総督府鉄道局では、以上の略号に「イ」「ニ」「サ」「シ」(1、2、3、4)の略号をつけて区別しました。台湾総督府交通局では、日本の鉄道省とほぼ同じだったようです。