わかしゅ

〔若衆〕若衆頭(わかしゅうあたま)の略。「若衆にゆおう」
わかとう
〔若党〕若い郎党。武家の奉公人で仲間(ちゅうげん)と侍との中間的存在。侍になれる可能性がある。
わかはる
〔若春〕新春。早春。
わかれ
〔別れ〕特別によこす金。
「行くなら別れを置いて行け。」(河竹黙阿弥「木間星箱根鹿笛(このまのほしはこねのしかぶえ)」)
わかれ
〔別れ〕客が遊女の所からわかれてかえることをいう。「別れの鐘」
わきざまし
〔沸ざまし〕一たんわいたのち生(なま)ぬるくなっているお湯。
わきほんじん
〔脇本陣〕本陣に次ぐ宿。2カ国の大名が同時に宿泊するとき、知行(ちぎょう)領の多い方が本陣へ、少い方が脇本陣へ泊る。→「ほんじん」
わきまえ
〔弁え〕支払い。
わくわくする
ビクビクしながら暮す。
「貧乏の世帯(しょたい)にわくわくするも昔の罰と思って居りますよ。」(三遊亭円朝「敵討札所霊験(かたきうちふだしょのれいけん)」)
わざわいもさんねんおけば
〔災も三年置けば〕災難も3年たつと何かの役に立つという諺。
わたしもの
〔渡物〕人にやるものという以外に、外国からわたって来た音楽とか物品とかの場合もつかう。渡来品。
わたのふんどし
〔綿の褌〕贅沢(ぜいたく)すぎる生活のこと。
わたりことば
〔渡り言葉〕やくざが諸国を渡って歩いて、人を訪問したとき最初にいう挨拶。仁義。
わっけもない
わけもない人。罪のない。他愛のない。
「あんなわっけもない人だけれど、お前の事を思って、わが子のやうにふだん云って居るから、」(三遊亭円朝「名人くらべ錦の舞衣(まいぎぬ)」)
わっし
〔私〕女でも使っていた。
わやくもの
いたずらもの。聞分けのない子。
わようランプ
〔和洋ランプ〕行灯(あんど)の形にできていて、なかの灯火がランプ。今日でなら、行灯の形の電気スタンドというところ。
「わざと電灯の野暮を避けて例の和洋行灯を据ゑ。」(徳冨蘆花の「不如帰(ほととぎす)」)
わらかす
笑わすと同じ。「笑かしゃアがら」
わらじくい
〔草鞋喰〕旅行中、草鞋のために足へできる傷。
わらのうえから
〔藁の上から〕生まれたときから。
わりかえし
〔割返し〕割戻し。
わりどこ
〔割床〕遊女屋で遊ぶものが高い金が払えず、一つ部屋へ二つ床をしかせ、間を屏風でしきって女と寝るをいう。2人づれで割床にすることもあり、ひとりで遊んで全然知らない客と割床の場合もある。
わりな
〔割な〕割合のいい。「割な話だネ」
わるあし
〔悪足〕女を喰物(くいもの)にしているその愛人。
「しかし廓の方言に、悪足ともいふそなた故、一応念をついておき、」(河竹黙阿弥「曾我綉侠御所染(そがもようたてしのごしょぞめ)ーー御所の五郎蔵」五条坂甲屋の場)
わるいちゃものまず
〔悪い茶も飲まず〕道楽もせず。
わるいみみ
〔悪い耳〕いやな話を耳に入れること。気まずい話を聞かせること。
「悪い耳とちがっていい事をおきかせ申したいと思ってね。」(三遊亭円朝「松と藤芸妓(げいしゃ)の替紋(かえもん)」)
わるがたい
〔悪固い〕わるくは悪人の意味でなく、度をこえての意味。馬鹿固い。「悪達者」「悪止め」「悪じい」など。
わるずい
〔悪推〕悪意に人の心もちをおしはかって考えること。悪推量。→「すいする」
わんぐり
大きく口をあけてのもうとする姿。アングリ。
わんちゃんもの
やんちゃん者、腕白(わんぱく)者より転じ、大人の場合は乱暴者。手のつけられない奴。



をみたよう
〔○○を見たよう〕このいい方、今日ようやくすたれようとしている。「を」をとって「○○みたよう」、さらにつづめて「○○みたい」というような崩れた用法がむしろ普通になってしまった。
「堅餅の焼ぎましを見たような」についてみれば堅餅の焼ざましは堅過ぎる人間の形容であるが、現代人なら焼ざましをみたようなといわず、「焼ざましみたような」とすぐつづける。「次郎長伝」を得意とした故神田伯山及びその門人ろ山は、強い人間の形容に「鬼を見たよう」と必ずいい、それが「オニョウ見たよう」と聞えるので、「鬼見たよう」と云っては弱くなるため、ことさらにこんないい方ももちいたのかと考えていたが、じつは江戸以来の用語を墨守(ぼくしゅ)していたのである。